石田衣良『1ポンドの悲しみ』~短い時間で一気に様々な人の心情に触れる有意義さを~

1ヶ月くらい前、久しぶりに小説を読みました。

きっかけはうし江が大阪市立中央図書館に通いだしたこと。

彼女が借りてきて読み終わった本を、又借りしてみた。

…結果、それからというもの、

2人して図書館通い&読書が習慣になりつつあります。

 

今年は本を読みふける1年になるのかも。

これを機に、ちょっとコンプレックスである教養不足を解消したい。

そしてせっかくなので、ブログで読書感想文を。

 

石田衣良『1ポンドの悲しみ』

≪内容紹介≫
数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた――(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプランナー……。迷い、傷つきながらも恋に生きる女性たちを描いた、10のショートストーリー。

 

内容紹介の通り、色んな事情を抱えた三十過ぎ女子たち(時々男子)の恋愛短編集。ひとつひとつのお話につながりはなく、まったく異なる背景を持った人々のストーリーがテンポよく展開していくので、読みやすい。活字の世界に復帰するための第1冊目としては、ナイスチョイス。

 

物語とはいえ、短い時間で様々な人の心情に触れるということはとても有意義だと思った。

共感できることもあれば、まったく自分に縁遠いようなこともある。よっぽど交友関係が広くて深くないと、リアルではなかなか味わえない感覚。また、間もなく三十代を迎えようとしている僕とうし江にとっては、「三十過ぎ」の恋愛ストーリーという設定も感慨深かった。(登場人物の多くが独り身だったが笑)

それぞれのストーリーの違いを際立たせていたのが、登場人物一人一人の大変細やかな職業の描写。これには舌を巻いた。これによって、三十過ぎという設定もまた、よりリアルに際立っていた。僕もあと数年したら、自分自身の職業のことをあそこまで語ることができるようになるのだろうか…
一方で、いかにも小説らしい(悪く言えば、あざとい笑)表現もよく見受けられた。普段僕らの生活ではまず使わないような文章が数々あって、「いつか俺の日常生活でも使ってやろうw」とほくそ笑んだ。

 

ストーリーの構成も、非常に良かった気がする。

ざっくり雰囲気だけ説明しよう(・ω・)/

1~2話はどこか重たく暗い雰囲気があり、3話目でそれが極みに達する。

4話で転換。

5~6話、徐々にエロティックな描写が…

7話目、本のタイトルでもある『1ポンドの悲しみ』…性的描写の極み

8話目でまた一気に雰囲気が変わる。

9話目、まさかの年の差カップル登場。終盤にして、新しい。

10話目(ラスト)『スターティング・オーバー』

読者を飽きさせない、構成だったと思う。
雰囲気をガラっと変えてくる、4話と8話はお気に入り。
そして何より、ラストが素晴らしかった。
恋愛短編集の締めくくりにふさわしいストーリー。

これまで紹介された三十過ぎ男女の恋愛模様を総括して物申しているような、希望にあふれたメッセージをもって幕が下りる。この終わり方はほんとすき。

≪10話:スターティングオーバーより≫
おれたちはへろへろになりながら、なんとか三十年を生き延びたんだ。もう一度すべてを始めるチャンスは、誰にでもあるはずだ。

 

 

読書感想文は以上です。以下は、個人的な備忘録。

以下では僕が、ぐっときた文章や、隙あらば日常生活で使ってやろうと思ったような文章を書き記していきます。あくまで、個人的な備忘録。
ちょっとネタバレにもなりかねないので、これから読もうとされていらっしゃる方は注意!!

 

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ネタバレ注意‼

 

 

では、記載していきます。

 

 

≪3話:十一月のつぼみより≫
別なことを始めるためには、先に終わらせておかなければならないものがある。

さて、どんな背景からつづられた文章か?

=答え:夫以外の男性にときめく妻

しかしながら、あらゆる物事に関してこういう面があると思われる。日常生活で使える時が来るのは、割とすぐかもしれない。

 

≪4話:声をさがしてより≫
あこがれの苗字

僕も実はごくごく平凡な苗字。サァ、「あこがれの苗字」について、考えてみようか…

 

≪4話:声をさがしてより≫
前回のオリンピックよりも昔の話

ウィットに富んだ、表現だと思われる

 

≪4話:声をさがしてより≫
これからは観客として生きよう。それも、できるだけいい客になろうって。…インチキなやつや浅ましいやつにはきちんとブーイングして退場してもらって、これはいいなと思う人にはできる限り肩入れをする。

自分の美学を自分の言葉で語れることは素晴らしいことだと思う。そして、共感できる。

 

≪5話:昔のボーイフレンド≫
最悪なのはみんな最後にいう台詞がいっしょ

理不尽なことに対して、それが正当化されるとき。そりゃー確かに最悪だ。

 

≪5話:昔のボーイフレンド≫
金のペン先からかえってくる繊細なしなりを指先に感じながら、自分の言葉をつづるほうが断然素敵ではないか

万年筆のすばらしさについて述べる時。ちょっと万年筆が欲しくなる…
自分の美学を自分の言葉で語れることは素晴らしいことだと思うパート2。

 

≪5話:昔のボーイフレンド≫
深夜の電話はなぜこんなに楽しくて、相手を身近に感じるのだろうか。相手の顔が見えずに声しか聞こえないと、心と心がじかにふれあっているような気がする。

中学生の時の、家の固定電話しか連絡手段がなかった時代を思い出したぜ…

 

≪5話:昔のボーイフレンド≫
二枚目の声になってる

ハイ、よくなります。指摘されたら、恥ずかしい…

 

≪6話:スローガール≫
愛なんてセックスを包んでいるただの包装紙

僕と全く縁のない、職業ジゴロが登場するお話しでした。そんなジゴロの発言より。
僕の友人のジゴロ・A君に「まったくお前の愛なんてセックスを包んでいるただの包装紙やな」と言ってやろうと思った次第です。

 

≪8話:デートは本屋で≫
ここでNOならこのときめきに未来はない。

なんかオシャレ。語感がよろしい。

 

≪8話:デートは本屋で≫
自分のお金を意思表示のためにつかえる。それは千晶が仕事を続けるおおきな理由のひとつだった。

お金をどのように使うか、それ行為自体がひとつの意思表示であること…忘れてはいかんなと思いました。

 

≪8話:デートは本屋で≫
工場は科学技術と経験から生まれる現場のものづくりの智恵を最適化した解答なんだ。

好きなものをこんな風に知的に語ってみたい。
B’zは松本の技術と稲葉のシャウトから生まれる現場の曲づくりの智恵を最適化した解答なんだ。

 

≪8話:デートは本屋で≫
いけてたよ。
(中略)…ほんの5文字の言葉が生む力に、千晶は心動かされていた。
(中略)…一世一代の殺し文句

シチュエーションに応じて、そんな5文字を操りたいもんだぜ。

 

≪8話:デートは本屋で≫
恋にはきっと0か1しかなくて、相手と別れたとたんにすべてがリセットされるのだろう。

女性の方がこんな感じよね、どっちかというと。

 

≪9話:秋の終わりの2週間≫
秋の七曜はまたたくまにすぎた。伊沙子にはまるで気にならないのだが、俊隆にはこの二週間は特別なものであるらしい。16歳の年の差が、1歳分だけ縮まって15歳差になる。それだけのことが、夫にはうれしくてしかたないらしい。この2週間は毎年、夫は妙にやさしくなったし、若々しくもなるのだった。

僕自身には縁のない描写かもしれませんが、このような心情もあるのだということをちゃんと覚えておきたい。

 

≪10話:スターティング・オーバー≫
逆にね、みんなが恋することやカレンダーにどんなに振り回されてるか、奇妙に感じたよ。だってイベントのあるたびに自動的に恋愛するなんて、わたしたちはベルトコンベアじゃないよね。

ベルトコンベア笑

 

≪10話:スターティング・オーバー≫
恋愛工場で必死に働いていた。

使うとしたら、ベルトコンベアの下りから笑笑

 

≪10話:スターティング・オーバー≫
おれたちはへろへろになりながら、なんとか三十年を生き延びたんだ。もう一度すべてを始めるチャンスは、誰にでもあるはずだ。

本篇では恋愛に関するお話しだけど、この言葉は恋愛に限った話じゃない。全ての三十代成人に告ぐ、希望に満ち満ちているメッセージ。

 

≪10話:スターティング・オーバー≫
なぜ、目のまえにある簡単なことに気づくのに十年もかかってしまうのだろう。大人になった身体に、心が追いついてくるのに、なぜたっぷり十年も必要なのだろう。わたしたちは甘やかされて育ち、快適さのなかで自分から目をそらすことに必死になっていた。それは誰でも同じはずだ。曲がり角のむこうから突然やってくる、今という時代に身も心も縛られて、立ち尽くしてしまうのだ。でも、気づいたときから、また始めればいい。

これもそう。
読んでいて身につまされる思いでした。

 

 

でも、気づいたときから、また始めればいい。

 

以上。

EPIC!

 

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