井筒和幸『パッチギ!』~知らんかったら、この先ずっと知らんやろ~

僕の仲の良い友人で、映画と言えば必ず金城一紀原作『GO』と井筒和幸『パッチギ!』の話をするヤツがいる。とにかくシャレたイケメンで、高校時代は僕も含めみんなから羨望のまなざしを集めていた。高校卒業後はたまたまお互い関西で一人暮らしするようになって、よく一緒に遊ぶようになった。僕にとって人生初だった「合コン」なるイベントを企画してくれたのも彼だ。(その時幹事をしていた女の子と彼は付き合いだして、そのままゴールイン。オメデトウ!)

そんな彼とナンパすることになった時に、彼が「ABC作戦!」と口走っていたのを覚えている。

僕:「ABC作戦てなん!?」
彼:「ハァ?お前は『パッチギ!』ば見とらんとか!? Cはシズオカ…って、説明してもくそつまらんけんそんくらい知っとけさ!!」

 

あれから8年くらい経つが、そんなことを最近思い出したので、ようやく『パッチギ!』を見てみたのである。

 

(以下、今回はネタバレをぞんぶんに含んでおります。)

 

井筒和幸『パッチギ!』

作品紹介にいっさい目を通すことなく、またどういう映画なのか前知識もほとんど無い状態で見ているので、最初は喧嘩のインパクトが強かった。品川裕の『ドロップ』みたいな感じかと思った。喧嘩モノは、ぶっちゃけ苦手である・・・

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喧嘩でバス横転させるって…こわッ!!!

 

しかし、見続けるうちに、ただ単に喧嘩や青春を面白おかしく描写しただけの映画ではない、ということに気付く。

喧嘩に恋に音楽に友情に出産…物語を構成する重要な要素のひとつひとつが、時に激しく時にコミカル…印象的な描写の裏で、ある問題提起を孕んでいる。一見越えられない壁。それでも壁を、パッチギる。

※パッチギ=頭突き、また朝鮮語で「突き破る、乗り越える」という意味らしい

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さて、見終わってから、作品紹介の内容を見てみる。

  『ゲロッパ!』の井筒和幸監督が、若者たちの恋と喧嘩を軸に、日本と朝鮮の深い溝とそれを乗り越える前向きな力を問う屈指の傑作青春映画。1968年の京都、高校2年の康介(塩谷瞬)はかねがね敵対する朝鮮高校に親善サッカー試合の交渉をするはめに。しかし訪れた朝鮮高校で彼は、音楽室でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目ぼれし、彼女と仲良くなりたい一心で、『イムジン河』の歌をギターで覚えるが…。

 

そう。ある問題提起とは、”日本と朝鮮の深い溝”のことである。

『GO』とテイスト一緒なんやね。※『GO』は中学ん時にお母さんと一緒に見た

 

面白い…というだけではなくて、見る人に強い影響を与える映画である。それが意図して、つくられているのは間違いない。

 

“愛”こそ全て “ALL NEED IS LOVE” 的なメッセージがとん平の好物である

キョンちゃん(=沢尻エリカ)が、めっっっっちゃカワイイ!!見どころのひとつである。ほ、ほんとに「別に・・・」の人なんだよね??震

主人公が一目惚れするのも仕方がない!お近づきになりたくて、音楽に目覚めるのも間違いない!!念願叶って、京都円山公園でデュエットするシーンは胸熱だった。

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憧れのキョンちゃんとのデュエットシーン♡

 

朝鮮のご家族・親族にも歓迎されて、マッコリもらって、
このままお付き合いして結婚だー!!!ヤッタネ!!!!!
主人公マンセー。マッコリでモッコリ!!!!! Yeheee!

 

 

 

 

 

 

・・・そんな単純な話じゃなかった(´・ω・`)

“恋”のエネルギーはすごいもので、二人を隔てる川くらい簡単に越えられそうな気分になるのである。そのためにギターの演奏覚えたり朝鮮語勉強したり、朝鮮の歌を覚えて披露するくらいはお茶の子サイサイ。そして事実、表面的にはその川を超えていく。

二人を隔てる鴨川を超える

二人を隔てる鴨川を超えるぜ!

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この後、とても大事なことを言います(主人公にとっては爆弾が投げられる感じの)

 

 

…しかし本質的な部分には、”恋”だけでは越えられない河がある。

「この先ずっと付き合って、結婚することになったら、朝鮮人になれる??」

 

 

民族間の隔たりや衝突「知らんかったら、この先ずっと知らんやろ」

さっき書いたみたいに直接的な描写もあれば、でっかい鴨川やそれを境に繰り広げられる激しい喧嘩シーンなんかが隠喩になっていて、井筒監督がこの映画に込めた意図がよく分かる。そしてその問題のことを、僕は何も知らない。知っておいた方がいいと、強く思いました。

 

キョンちゃん繋がりで、在日朝鮮人の人たちと繋がりを深めていく主人公が、先述した「結婚問題」提起の後にもう一度、”日本と朝鮮の間の深い溝”を突きつけられるシーンがある。

「お前には居て欲しくない!…知らんかったら、この先ずっと知らんやろ?」

 

ギターを覚えた、「イムジン河」を演奏できるようになった、キョンちゃんとお近づきになれた、朝鮮学校の友人もできた、音楽で世界は変えれるって思ったりもした・・・

でもそれが何だったんだって、どうしようもない無力感とそんな自分に対する悔しさで慟哭する主人公にめっちゃ感情移入して、僕も泣きました。。。

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キョンちゃんも泣く…

 

 

 

 

 

 

でも  唄う!!
日本のラジオで 朝鮮の歌「イムジン河」を。それしか今のところ、できることがない。

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届いた……かもしれない。

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終わり方が素晴らしい

最高だった。

ラストの、キョンちゃんとのやり取りには目が離せない。

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主人公の「トゥリソ、ハムケ、ハゴシボヨ」発言に対して…

 

そして、エンドロール中の一幕にも注目。主人公の言葉に、耳を澄ましてほしい。”愛”です。単なる”恋”から”愛”になった瞬間。B’zの名曲・恋じゃなくなる日とはこういうことか。

主人公の最後の言葉を聞いて、この満面の笑み

主人公の最後の言葉を聞いて…

 

 

これ以上の終わり方はないでしょう!!

EPIC!

 

そして日本と朝鮮の問題については、ちょっと勉強することにします。勉強中です。

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