三島由紀子『しあわせのパン』~美味しいパンと、心の浄化を味わいたいなら~

とん平 活字世界への復帰、読書感想文2冊目。

三島由紀子『しあわせのパン』。

北海道洞爺湖畔の静かな町・月浦に、りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ」があった。実らぬ恋に未練する女性・香織、出ていった母への思慕から父親を避けるようになった少女・未久、生きる希望を失った老夫婦・史生とアヤ……さまざまな悩みを抱えた人たちが、「マーニ」を訪れる。彼らを優しく迎えるのは、りえさんと水縞くんが心を込めて作る温かなパンと手料理、そして一杯の珈琲だった。映画界の俊英・三島有紀子による初の小説執筆作品。映画「しあわせのパン」から生まれた、とびっきり香ばしくて温かい物語。特別付録として絵本「月とマーニ」を巻末に収録。

 

結論から言うと、素晴らしかった。

 

心の浄化を、味わいたいなら…

「浄化」という言葉で本作品を言い表すのがいいと思っている。「浄化」の、読書体験。

「癒し」と言ってもいいかもしれないが、もはや現代「癒し(癒される)」という言葉は乱発されすぎてていかにも軽い。ここはちょっとかっこつけて、「浄化」と言わせてくださいな。
※ちなみに僕的に現代用語の「癒し(癒される)」の対義語は「病み(病む)」。これももはや、いかにも軽い。

うまくいかないこと 人とのしがらみのこと 納得できないこと もはや生き続けることさえしんどいこと 自分自身を肯定できないこと 大切な誰かに受け入れられないこと…

大変なことは、たくさんあります。

そんな心の、浄化。

 

終盤は、もはや涙無しに読み進めることができなかった。

 

 

 

あなたの心も、どうぞ北海道月浦『カフェ・マーニ』のパンと料理とコーヒーで、

癒されてください。 アッ…

 

 

一方で、厳しい読書体験になることもある。

浄化される前の登場人物に、自己を投影してしまうと そうなる。

 

「大切なのは 君が、照らされていて 君が、照らしている ということなんだよ。」

(本文引用ネタバレですみませんが、安心して下さい、作品冒頭です。)

 

作品内で出てくる『月とマーニ』という絵本の中の一文。

作品のキーワードといっても過言ではない。

この一文が、自らの生に対して鋭く問いかけてくるから、

辛くなる こともある

 

 

それでも、読み終わって最後に残るのはやっぱり「希望」である。

「浄化」だからね。それぞれに救いがあり、希望がある。その部分にこそ、目を向けていきたい。

 

僕らは僕らで、

気づいた時から、始めればいい。

先日記事にした『スターティング・オーバー』のことを、思い出したい。

『スターティング・オーバー』って何ぞや?どういう意味??

2016.04.03

 

あなたが『しあわせのパン』を読んだなら、どんな気持ちになるのだろうか。

是非ともオススメしたい一冊。

以上。

EPIC!

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